ギンヌンガガプ(Ginnungagap、ギンヌンガ・ガップとも)とは、北欧神話に登場する、世界の創造の前に存在していた巨大で空虚な裂け目のことである。 日本語訳ではギンヌンガの淵(ギンヌンガのふち)、ギンヌンガの裂け目(ギンヌンガのさけめ)という表記もみられる。
ギンヌンガガプの北からは激しい寒気が、南からはムスペルヘイムの耐え難い熱気が吹きつけている。世界の始まりの時において、寒気と熱気がギンヌンガガプで衝突した。熱気が霜に当たると、霜から垂れた滴が毒気 (Eitr) となり、その毒気はユミルという巨人に変じた。このユミルは全ての霜の巨人(ヨトゥン)たちの父となり、またのちに殺され彼の肉体によって世界が形作られることとなる。滴からは牝牛のアウズンブラも生まれ、ユミルはアウズンブラから流れ出る乳を飲んで生き延びた。アウズンブラは氷をなめ、そのなめた部分からブーリが生まれた。北欧神話の主神であるオーディンはブーリの孫にあたる。のちにオーディンらによってユミルが殺されたときに、ギンヌンガガプはユミルの血で満たされたという。
脚注
参考文献
- Kevin Crossley Holland 『The Norse Myths』
- G・ネッケル; H・クーン; A・ホルツマルク; J・ヘルガソン 編、谷口幸男 訳『エッダ 古代北欧歌謡集』新潮社、1973年8月30日。ISBN 978-4-10-313701-6。
- 菅原, 邦城『北欧神話』東京書籍、1984年。全国書誌番号:85011498。
関連項目
- 創造神話
- カオス - ギリシア神話の原初の空間の神。
- ヌン
- クク - エジプト神話における原初の空間の神格化、闇の神ともされる。
- 盤古
- ティアマト




