フランコ・モルビデリ(Franco Morbidelli, 1994年12月4日 - )は、イタリアラツィオ州ローマ出身のオートバイレーサー。身長176 cm、体重64 kg。愛称は「フランキー」。
ロードレース世界選手権 (MotoGP) の2017年Moto2クラスチャンピオン。2018年よりMotoGPクラスに参戦している。
ヴァレンティーノ・ロッシが主宰するVR46ライダーズ・アカデミー所属。
経歴
初期の活動
モルビデリはイタリア人の父親とブラジル人の母親の間に生まれた。そのため、レースで被るヘルメットにはイタリア国旗とブラジル国旗のデザインがあしらわれている。
父リビオは1980年代にイタリア選手権の軽量クラスで活躍した元ライダーで、息子が2歳になった頃には手製のミニバイクを与えていた。フランコが10歳の頃、一家は彼のレースキャリアのためローマを離れ、マルケ州ペーザロに移住する。そこは元GPライダーのグラツィアーノ・ロッシが住むタヴッリアに近く、"La Cava"(採石場)というダートトラックで息子のヴァレンティーノらが走り込んでいた。フランコは13歳の頃からヴァレンティーノと一緒にトレーニングをする機会に恵まれ、公私共に深い絆を結んでいった。
モルビデリは2006年にMotoGPのプラマック・ダンティーンチームと育成契約を結び、イタリア国内の小排気量クラスやスペインのレースシリーズで経験を積んだ。しかし、ダンティーンの撤退により支援の当てがなくなり、世界GPへの進級ルートから外れ、プロダクションレースのスーパーストック600クラスに転向した。2011年よりスーパーバイク世界選手権 (SBK) と併催されるヨーロッパ・スーパーストック600選手権 (European Superstock 600 Championship) に参戦。3年目の2013年には父リヴィオの自殺という困難に直面したが、2勝を含む5度の表彰台に立ち、このクラスのチャンピオンを獲得した。
ロードレース世界選手権
Moto2クラス
スーパーストック600での活躍が認められ、2013年の世界選手権第13戦サンマリノGPにて、グレシーニ・レーシングよりワイルドカードとしてMoto2クラスに初参戦。さらに代役として終盤2戦に出場した。
2014年、ロッシ親子がイタリア人ライダー育成のため立ち上げたVR46ライダーズ・アカデミーの所属選手のひとりとなる。イタルトランス・レーシングよりMoto2クラスにフル参戦し、最高順位5位、シリーズランキング11位で初年度を終えた。
2015年、第10戦インディアナポリスGPで3位初表彰台を獲得。しかし、イギリスGP前のトレーニング中に右脚を骨折し4戦を欠場。シリーズランキング10位で終える。
2016年、イタルトランスから強豪チーム、マルクVDSへ移籍。5戦連続を含め8度の表彰台を獲得し、シリーズランキング4位に躍進する。
2017年、開幕戦カタールGPにて初ポールポジションからポール・トゥ・ウィンで初優勝を達成。続くアルゼンチンGP・アメリカズGPと開幕3連勝し、トーマス・ルティやチームメイトのアレックス・マルケスらとチャンピオン争いを展開。フランスGP・オランダGP・ドイツGP・オーストリアGP・アラゴンGPでも勝利を重ね、18戦中8勝を含め12度の表彰台を獲得し、2位のルティに65点差をつけMoto2クラスのシリーズチャンピオンに輝いた。
MotoGPクラス
2018年、ホンダのサテライトチームであるマルクVDSにて、最高峰のMotoGPクラスにステップアップ。最高順位はオーストラリアGPの8位。シリーズランキング15位で終え、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
2019年、マルクVDSのMotoGPクラス撤退を受け、ヤマハのサテライトとして発足したセパン・レーシング・チーム (SRT) へ移籍。19戦中11戦でトップ10フィニッシュし、獲得ポイントも倍増し、シリーズランキング10位に成績を上げた。しかし、チームメイトのMotoGPルーキー、ファビオ・クアルタラロが見せたセンセーショナルな活躍の陰に隠れる形となった。
2020年、クアルタラロが最新のワークススペックのYZR-M1を入手したのに対し、モルビデリは2019年型ベースの「Aスペック」と差が付けられた。しかし、ヤマハのライダーたちが最新型の不安定性に悩まされる中、モルビデリはヤマハ勢トップの成績を残すことになった。第3戦チェコGPは予選2位からレース中盤までトップを快走し、2位初表彰台を獲得。第6戦サンマリノGPでは地元に近いミサノ・サーキットで師匠のロッシとトップを争い、MotoGPクラス初優勝を達成した。第8戦カタルーニャGPで初ポールポジション、第11戦テルエルGPで2勝目、第13戦バレンシアGPでポール・トゥ・ウィンの3勝目を挙げ、チャンピオンのジョアン・ミル(スズキ)に次ぐシリーズランキング2位になった。
2021年、ワークスチームへ昇格したクアルタラロと入れ替わる形でロッシがSRTへ移籍し、子弟コンビを組むことになる。モルビデリはメーカー側の財政事情から最新型を供給されず、アップデートを加えた2019年型(Aスペックプラス)を使用する。
2022年、昨シーズン終盤と同じモンスターエナジー・ヤマハMotoGPから参戦。
2023年は5年間過ごしたヤマハを離れ、来季はプラマック・レーシングへ移籍することがサンマリノGP後に発表された。ホルヘ・マルティンとチームを組む。また2024年には、第11戦オーストリアGP前にロッシが運営するVR46レーシングチームへの移籍が決定し、師のチームから参戦できるという感謝のコメントを述べた。
その他の活動
2019年12月、SRTの地元であるマレーシアで行われたFIM世界耐久選手権 (EWC) 第2戦セパン8時間にスポット参戦。予選上位10組で行うトップ10トライアルでポールポジションタイムを記録した。
2020年には四輪の世界ラリー選手権 (WRC) 最終戦ラリー・モンツァにヒュンダイ・i20 R5を借りてスポット参戦。総合61位で完走した。
成績
ヨーロッパ・スーパーストック600選手権
ロードレース世界選手権
シーズン別
* 現在進行中のシーズン
クラス別
レース成績
(key)(太字はポールポジション 斜体はファステストラップ)
* 現在進行中のシーズン
脚注
外部リンク
- フランコ・モルビデリ (@frankymorbido12) - X(旧Twitter)
- フランコ・モルビデリ (@frankymorbido) - Instagram
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