MDT ダビデ軽装甲車は、イギリス製のランドローバー・ディフェンダーをベースにアメリカ合衆国のMDT Armor Corporation社で開発され、イスラエル国防軍で使用されている小型軍用車両である。
概要
MDTダビデ軽装甲車はイスラエルのArotech社とアメリカのMDT Armor Corporation社によって共同開発された小型の装甲車両で、既存の市販車両あるいは軍用車両をベースとして装甲車体パッケージを装着する事により、導入費用や維持費が比較的低コストでありながら、かつ一定の装甲防御力やベース車両譲りの走行能力も持つという軍用車両である。イスラエル軍ではM151"ケネディ・ジープ"の後継として、1990年頃からジープ・ラングラーYJをベースとしたM240 ストームMk.1を使用していたが、MDTダビデ軽装甲車はストームMk.1の装甲化バージョンの後継車種という位置付けで、2006年頃から調達が始まった。
MDTの開発では、4人乗りの短車体型のベース車両がランドローバー・ディフェンダー110、6人乗りの長車体型のベース車両がトヨタ・ランドクルーザーLC79となっていたが、イスラエル軍に導入されている車両は、少なくとも2015年時点ではランドローバー・ディフェンダーがベースの車両のみであると見られる。
MDTダビデのエンジンは2.2リッター4気筒ターボチャージャー、インタークーラー付きディーゼルエンジンで、変速機は6速マニュアルトランスミッション、フルタイム4輪駆動の走行装置となっている。アプローチアングルは48°、デパーチャーアングルは28°となっており、オフロード能力も高い水準を持つ。
MDTダビデの装甲車体は、MDTのメーカーサイトでは"カプセル"と表現されたモジュール化されたもので、軽火器やIEDによる攻撃をある程度、防ぐ事が可能である。後部のシートアレンジは様々なパターンが可能である。要するに、ピックアップトラック型のベース車体の荷台部分が、装甲化されたボックス状の兵員室になっており、この点は、イスラエル軍で併行して採用されているストームMk.2の基本タイプが、5ドアタイプの乗用車型であることとの相違点ともいえる。
MDTダビデの後部兵員室には、側面上部に窓はあるが側面ドアはなく、兵員室後面に大型の昇降用ドアを装備している(車両としては3ドア構造となる)。この構造により、危険地域であっても、迅速に後部兵員室の武装兵士の昇降を行うことが可能となっている。兵員室天板にはオプションでルーフハッチを取り付け可能で、機関銃マウントなどを装備可能である。また、後部兵員室にはストレッチャーを搬入する事も可能で、MEV(Medical Evacuation Vehicle、医療搬送車両)として使用する事も可能になっている。
脚注・出典
関連項目
- ランドローバー・ディフェンダー
- ランドローバー・ウルフ - イギリス軍で使用されている、ランドローバー・ディフェンダーがベースの軍用車両。
- RSOV - ランドローバー・ディフェンダーの車体をベースに武装を搭載した偵察戦闘車。アメリカ陸軍第75レンジャー連隊で運用されている。
- AIL ストーム - MDTダビデはストームMk.1の後継としてイスラエル軍に採用され、ストームMk.2、Mk.3と併行して配備されている。
- M462 Abir - 同時期にイスラエル軍で使用される非装甲の装輪兵員輸送車。
- ハンヴィー - 同時期にイスラエル軍で使用されている軍用車両。
- Zeev装輪装甲車 - 同時期にイスラエル軍で使用されている装輪装甲車両。
- Safaron装輪装甲車 - 同時期にイスラエル軍で使用されている装輪装甲車両。
- プラサン サンドキャット - 同時期にイスラエルで開発され、イスラエル警察で使用されている小型装甲車両。
外部リンク
- MDT Armor Corporation David page
- Israeli-Weapons.com David
- Arotech and Israel Military Industries Ltd (IMI) to Jointly Market the David




